Interview with Ryo ISHIKAWA ファッションと車の関係性

「男の子がスニーカーを集めるような感覚でクルマに乗っている」という、石川涼さん。クラシックポルシェではまず356を手に入れたという。ファッション業界で常に注目を集め続ける彼と愛車930、クラシックモデルとの関係性とは。

ブランドはもちろん、ライフスタイルや発言も多くの若者から支持される石川涼さん。「僕は男の子がスニーカーを集めるような感覚でクルマに乗っているから。クラシックポルシェファンに僕の話を聞かせたら怒られるかもしれない」と笑う。
 
18歳で中古のセリカXXを手に入れ、自身のブランドが成功してからはレンジローバー、G55、ベントレー・ミュルザンヌなど多くのラグジュアリーモデルを複数台所有してきた。その中には997 4S、パナメーラ、カイエンなどポルシェも含まれる。
「 友人のクルマも含めると一通りの高級車に乗ったと思います。それで気付いたのは、現代のクルマは1000万円以上するものだと乗り味がどれもほとんど変わらないってこと。997の4Sは納車されてすぐゴーカートに乗せられているような気分になって2週間で手放しました」


 
そして石川さんはフルレストアした1968年式のフォードマスタングのファストバックを手に入れる。ここからクラシックモデルへと傾倒していくことに。

「クラシックポルシェはまず356を手に入れました。走っている最中のオイルの匂い。そして音。エアコンなんか全然効かないけれど、満足感はとても高かったですね。僕にとっては空冷か水冷かというのは正直どうでもよくて。クルマに乗ることで自分をどう表現できるか。それを大切にしています」
 
ラグジュアリーカーを新車で乗っている頃は気にしなかったが、マスタング、そして356に乗るようになってから、街で写真を撮られる機会が増えたという。

「自分のスタイルとして選んでいるものが街にも刺激を与えている。それはおもしろい」
 
ある日思い立って石川さんはガレージから輸入車を排除し、外国人から人気のある日本車と入れ替える。選んだのは左ハンドルのランドクルーザー60と走行約2万kmのR32 GT-R。そして今年3月にGT-Rを、ネイビーの89年の最終型930カレラに入れ替えた。

「930はたまたま友人のショップに程度のいいものが入庫したと聞いて、実車も見ずに購入しました。本当はカーキの930に乗りたかったから塗り替えようと思ったんですよ。でも内装もネイビーだからカーキではバランスが悪い。そこで白かシルバーにしてくれと頼んだらショップから『バカ言うんじゃない! 絶対に許さない!』と怒られて(笑)」
 
納車後すぐに石川さんは手に入れた930のリアスタイルを自身のInstagramにアップ。その写真は瞬く間に拡散されて1900を超えるいいね! がつき、世界中から多くのダイレクトメッセージが届いたという。

「僕としてはR32のほうが外国人から反響があると思っていたんですよ。もちろん『Godzillaじゃん、いいね!』というコメントはありましたが、930はそれとは比べ物にならないほどのリアクションでした。ポルシェブランドの底力を感じましたね」
 
納車から数カ月。冒頭で話した通り、日々の通勤や夜中のドライブなど、石川さんは930をスニーカー感覚で楽しんでいる。
「パワステなんてなくても気にならないし、何よりこの時代のポルシェのMTは操るのがとても楽しい。この930は1989年式だから、R32とほぼ同時期のクルマと言っても差支えないと思います。それなのに安定感は930のほうがずば抜けて高い。これがポルシェなのかと日々感じています。最初に356に乗ったことで、911の進化も体感できます。今はカセットデッキが壊れちゃって修理中です。でもBluetoothオーディオなんかに換える気にはならないですね。そんなのは他のクルマでやればいい。930にはこういう“ちょっとダメな感じ”があるからおもしろいんですよ」
 
ライフスタイルとの親和性、そして走りやギミックの魅力を楽しんでいる石川さんだが、この930に強い思い入れがあるわけではなさそうだ。例えばカーキ色の930など、より自分の感性を刺激するものが見つかったら迷いなく入れ替えると話す。

「僕が言うまでもありませんが、中古車、とくにクラシックモデルは出会うタイミングがすべて。そのためのアンテナは常に張り巡らせています。今後クルマの電動化や自動化がさらに進んでいくのは間違いないでしょう。それなら今は対極にある古くて大排気量でMTの"面倒くさいクルマ"に乗りたい」
 
ちなみに石川さんはさまざまなメディアで女の子の話も隠さず発信している。930の女子ウケはどんな感じなのか。
「ゼロです(笑)。こんなに乗り心地が硬くてエアコンも効かないクルマに乗りたいと思うはずがないでしょう。僕にとってポルシェはオモチャなのだから。子供だって男のオモチャで女の子と遊ばない。女の子と遊ぶときは別のクルマで出かければいいんですよ」


石川涼
1975年6月12日、神奈川県生まれ、静岡県育ち。株式会社せーの代表取締役社長。20歳で上京してアパレル業界へ身を投じ、24歳で自身のブランドを立ち上げる。29歳のとき、渋谷109MEN’ Sで絶大な人気を誇るブランド"VANQUISH(ヴァンキッシュ)"をスタートさせる。現在はVANQUISHのほか、#FR2、LEGENDA、gonoturn など多くのブランドを展開。
https://ceno.jp

文:高橋満 写真:デレック槇島  Words:Mitsuru TAKAHASHI Photography:Derek MAKISHIMA

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