冷めることのない熱意│圧倒的な強さを見せたガルフ・カラーのポルシェ917K

この記事はフォードGT40とポルシェ917│同じカラーに身をつつんだ戦いの続きです。

ワイヤ/ガルフ・ポルシェはまさにGT40と同じ意匠に仕立てられた。黒で縁取りされたオレンジのストライプが、フロントからリアまで背筋を一直線で通すクルマが1台、ヘッドライトの下から外へ掃き出すようにサイドシルまで塗り分けられるクルマが1台というラインナップである。

円形のガルフのロゴはフロント・フェンダーの上と前後ホイールアーチの横に貼られた。ガルフ・カラーの917Kが最初にレースを走ったのは70年のデイトナ24時間で、それを見たオートスポーツ誌のサイモン・テイラーは次のように語っている。

「ポルシェのあまりの変貌ぶりへの驚きはフェラーリの比ではありませんでした。見た目はシンプルで上品ですが、そのいっぽうでものすごい躍動感を感じさせたのです。それまでそんなポルシェは見たことがありませんでした」

テイラーの絶賛と驚きはすぐさま現実のものとなった。ロドリゲス/キニューネン組の917Kが優勝、シフェール/レッドマン組も2位に入ったからだ。しかし続くセブリング12 時間は台風による悪天候のために4位がやっとで、第3戦ブランズハッ
チではロドリゲス組が勝ったものの、レース序盤に出されたブラックフラッグのために1週遅れの状態から猛烈な追い上げを敢行した結果、終了5ラップ前になんとかものにできた勝利だった。

フェラーリのお膝元、モンツァではワイヤの作戦でフェラーリを情け容赦なく打ちのめし、高速のスパではシフェール/レッドマン組が新記録を打ち立てて勝利に花を添えた。ここでの917Kの速さは驚異的で、レースはリタイアとなったものの、ロドリゲスが予選で叩き出したポールタイム3分19秒8は、F1のそれより12秒も速かったのである。

順調に勝利を重ねるワイヤとガルフ。次の期待は当然ポルシェ初のル・マン完全勝利に向けられたが、それはならなかった。ポルシェは勝つには勝ったが、勝利したのはガルフとは別の917(ポルシェ・ザルツブルグから出走した917Kが1位、マルティーニ・レーシングの917Lが2位に入った)であった。

しかし、ワイヤはワトキンズ・グレン6時間とエステルライヒリング1000kmに連勝し、ガルフ・ポルシェにほぼ完璧な年間チャンプをもたらした。ガルフ・ポルシェはル・マンでの勝利こそ取り逃がしたが、スティーブ・マックイーン演ずる不朽の名作映画" Le Mans(邦題は『栄光のル・マン』)"の中で準主役ともいうべき重要な役割を果たしたことは記憶されるべきだろう。とくにカーナンバー20はもっとも多く写真を撮られたクルマであった。

編集翻訳:尾澤英彦 Transcreation:Hidehiko OZAWA Words: Delwyn Mallett Photography: Porsche Archiv, Canepa and author

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