901のレストアに見たポルシェの本気│3年間を要して蘇る

ポルシェはタイプ901の名のもと、356の後継機種の開発を進めてきた。だが1964年秋に新型車の生産を開始したわずか数週間後、プジョーとの商標権の問題でクーペの名称を変更しなければならなくなった。この時までに製造された901は82台。だが結果的に901として製造されたものも含め、すべては911として販売されることになった。果たして50 年もの間、ポルシェファクトリーのコレクションには、このような希少な911が存在していなかった。
 
あるとき、ポルシェミュージアムのコレクション・マネージャー宛に、ドイツのテレビ局からお宝鑑定の依頼が入る。どうやら"バーンファインド"のポルシェ911が発見されたというのだ。それがこのクルマである。テレビクルーがそのシャシーナンバー"300 057"を告げたとき、ミュージアムのスタッフは"the penny dropped !(やっとわかった)"と絶叫したという。このクルマこそが、最初期の911だったからである。


 
それにしても無残な赤い911。フロントフェンダーは取り払われ、車両の大部分はすでに腐食していた。救いはシャシーナンバーが正しく、車両のオリジナリティに疑いの余地が微塵もないことであった。詳細な査定の結果、ポルシェミュージアムが提示した購入金額は持主の期待をはるかに超えた10万7000ユーロであった。


 
だが、さすがにそれだけの価値はあった。たとえばシフトレバーだけではなく、その周りのレザーまでオリジナルの部品が正しく保存されていたり、メーター補器類がそのまま取り置かれていたりするなど、幸運は数多く残っていた。エンジンは当時モノであったがナンバーマッチングではなかったのもユニーク。もしかしたら出荷前に何らかの理由で載せ替えが図られたのかもしれない。また修復にあたって、オリジナルボディの約半分程度を残すこともできた。


 
至極ていねいなレストアの甲斐があって見事に1964年901は復活を果たす。ポルシェのレストアの原則は、部品を交換するのではなく、可能な限り保持することである。ポルシェミュージアムが則ったこの修復アプローチ手法は、歴史的に価値あるスポーツカーに再び息吹を与えるに、3年という時間を要したのだ。

原文、写真:ポルシェAG まとめ:クラシックポルシェ編集部 Words and Images: Porsche AG Summary:Classic Porsche

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