ポルシェをスーパーカーの世界へ誘った911ターボエンジンを詳しく見る

1975年に発売された911ターボによって、ポルシェは一足飛びにスーパーカーの世界に加わった。現在まで続く道筋をつけた画期的なエンジンを詳しく見てみよう。

ポルシェの関係者と最近のクラシック・ポルシェの値段について話をすれば、ちょっとした"インサイダー情報"を教えてくれるかもしれない。「もし見つけられたら930ターボを買うべきだ」
 
そう、それほど旧い911の人気が高くなっており、それに伴って相場が上昇傾向にあることのサインといえるだろう。当然、よいクルマも少なくなっているのは残念だが、過給システムを備えた最初のロードゴーイング・ポルシェが、急速に"お宝品" になっていることは間違いないようだ。ここでは911ターボの技術的な側面を詳しく紹介しよう。1970年代半ばに生まれた911ターボは、ポルシェの名声を確固たるものにするのに大きな役割を果たしたのである。

「930」というコードナンバーにちょっと混乱する人がいるかもしれない。それは1975年から89年まで生産されていたモデルの社内タイプナンバーであり、さらにエンジンや様々な部品のサブナンバーとしても使われた。たとえば、930/10はオリジナルの3リッターエンジンのこと、930/60は1978年発売の3.3リッターエンジン、930/30は4速ギアボックスを示すという具合だ。当初はシャシーナンバーもまた930から始まっていたが(1980年に国際統一システムが導入されるまで)、同じような3桁数字コードは多くのポルシェのパーツナンバーとして現在に至るまで使用されている。 

ポルシェの最初のロードゴーイング・ターボカーは1974年のパリ・サロンに出品され、翌年の春から生産が始まった。もっともこれがシュトゥットガルト製の最初のターボカーではない。ご存知のように北米のCan-Amレースシリーズを制覇するために、70年のル・マンウィナーである917のフラット12エンジンを流用し、それに2 基のターボチャージャーを加えたエンジンを917/10と917/30スパイダーに搭載したのだ。フラット12ターボエンジンは優に1000bhpを超える驚異的なパワーを発揮してレースを席巻。これ以降ポルシェはパワーアップの手段としてターボを使い始めたのである。
 
1973/74年にかけて短期間だけ造られたプロトタイプのカレラRSRターボは、2.14リッターエンジンを積んだ最初のヨーロッパ向けレーシングカーで、これがもっと有名な934 および935レーシングカーにつながるのだが、実はこの間に生まれたのが930ターボである。
 
実際にはロードカーが934/935の前に発売されなければならなかった。スポーツカーレースでの成功を目指していたポルシェにとって、理想的な計画はロードカーを400台生産してグループ4、GTカテゴリーのホモロゲーションを認めさせること、そうすればレース部門がさらに改造した"エボリューションモデル"を製作できるからである。
 

編集翻訳:編集翻訳:古賀貴司(自動車王国) transcreation: Takashi KOGA( carkingdom) Words: Keith Seume & Paolo Faldini Photography: Kremer & Porsche Archives

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