伝説のレーシングマシン ポルシェ917で公道を走る最高の体験!

〝胸が躍る〞などという言葉ではとても足りない。今日、私たちは917に乗るのだ。それもレーシングスーツもヘルメットもなしで、合法的に公道を走る。保険の都合でステアリングを握ることは叶わないが、助手席でも忘れられない経験ができるはずだ。オーナーのクローディオ・ロッダーロはこの日のために骨を折ってくれた。公道であろうとサーキットであろうと、917に乗ったことのある人間がいったい何人いるだろう。まさに千載一遇のチャンスだ!

ポルシェ917の歴史において、公道走行の認可を正式に取得した車両は2台しかなかった。よく知られているのはグレゴリオ・ロッシ・ディ・モンテレーラ伯爵のために用意されたものだ。伯爵は酒造ブランド、マルティーニ・エ・ロッシのオーナーとして、1970 年代にポルシェワークスチームの最初のパトロンとなった。これほど重要なスポンサーが自動車に関するささやかな願い事をすれば、ファクトリーはすぐに手を打つ。
 
1974年、本物の917で公道を走りたいというロッシ伯爵の願いを受けて、ポルシェが"在庫"を調べると、1972年末から使われずに埃をかぶっているテストカーがあった。それがシャシーナンバー917-030だ。レース出走は一度だけで、ツェルトベク1000kmでヘルムート・マルコ(ル・マン優勝の数日後だった)とジェラール・ラルースがドライブし、結果はリタイアに終わったものの、ABSシステムを実地にテストする役目は果たした。


 
ロッシ伯爵はできる限りレーシングカーに近い917をご所望だったので、ヴァイザッハはより“実用的”にするためのモディファイを最低限に抑えた。手を加えたのはマフラーと、コクピットをレザーとカーペットで覆ったことくらいだ。また、伯爵の他のコレクションに馴染むようにシルバーグレー1色でペイントされた。だが、地味な塗色くらいではドイツの認証機関テュフの目はごまかせない。
 
そこでロッシ伯爵はアメリカのアラバマ州で917を車両登録し(なんと州内で走行しないことが条件だった)、納車された1975年4月27日にさっそくシュトゥットガルトからパリまでドライブした。917-030は現在もロッシ家が所有している。ただし、最後にテキサス州で登録してから時間が経過しているため、アメリカの法律上、もう公道を走ることはできない。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA

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