ポルシェの伝説のレーシングマシン 917の乗り心地は?公道で試乗体験

Photography: Tom Wheatley

これは『公道仕様?伝説のレーシングマシンで地中海を横に駆け抜ける!』の続きです。

燃料ポンプがシューッといい、スターターが何度か回ると、フラット12が轟音と共に目を覚ました。時折エグゾーストから炎を吐き出し、不機嫌に咳き込み、凶暴なサウンドでみぞおちにパンチを食らわせてくる。917は間違いなく生きているのだ。

まずは給油である。特別な燃料は必要ない。近所のガソリンスタンドで98オクタンが手に入る。スタンドでは917のサイズが問題になるかと思ったが、意外にも356より小回りが利く。ボンネットを開けずに給油ができる点でも356より楽だ。

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いよいよ2台を従えて出発。手始めにニースまでのハイウェイで撮影を行う。私たちは事前に警察に連絡しておいた。異例なことには慣れているらしく、「登録が済み、保険に加入しているなら」とあっさり許可が下りた。それより問題となったのは他の一般車両だ。私たちが写真を撮ろうとする横で、通りがかりの商用バンやファミリーカーも917をカメラに収めようとするのである。
 
高速道路での走行写真を撮り終えたら、今度は高台に向かう。その頃には、最初は寛容だった警察も私たちが引き起こす渋滞に痺れを切らし始めていた。917は車高が極めて低いので、道路を仕切る壁の上にのぞくのはルーフの端だけだ。したがって他の車からは目に留まりにくいだろうが、その音を聞き逃すことはあり得ない。フラット12のハスキーな咆哮は、壁に反響して辺り一帯に響きわたっていた。
 


いよいよ私がコクピットに乗るときが来た。いや、"押し込まれる"というべきか。それまで助手席に座っていた女性はまさに適役だった。というのも、肩幅などの体格がボディタブのサイズやルーフまでの高さにぴったりだったのだ。しかし、私の体格では快適な空間は望めないだろう。乗り込むこと自体は簡単だ。またぎ超えるシルは、962ほど幅が広くもなければ脆くもない。だがそのあとがやっかいである。ボディタブに滑り込むと、両足をどこに置くべきかで悩んだ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Josué Chevrel Photography: Tom Wheatley

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