ポルシェファクトリーも目を付けた「ポルシェ・スペシャル」の特徴は?

これは、『80代でも毎日クラシックポルシェを楽しむ!所有する「ポルシェ・スペシャル」とは?』の続きです。

ポルシェファクトリーもグルックラーのスペシャルに目を留めた。その軽量のシャシー"タブ" がポルシェ550スパイダーの開発に影響を与えたと考える歴史家もいる。最後となる6台目のグルックラー・ポルシェは、リアウィンドウがサイドまで広がるクーペで、4カムのカレラエンジンを搭載した。ミッレミリアのために1954年に造られたが、完成が間に合わず、出走はならなかった。
 
今回の主役に話を移そう。ハーブが所有するグルックラー・ポルシェNo.3は、1488ccエンジンを搭載することから"1500" モデルとして知られる。これ以前のグルックラー・ポルシェがミドシップだったのに対し、この車はエンジンをリアに搭載。ポルシェ356 の新しいシャシー(シャシーナンバー10447)を1952年にファクトリーから丸ごと購入し、アンダーガードを装着した。
 
ホイールベースは変更せず、グルックラーとラメロウによるアルミニウム製ボディを手作業で製作してこのプラットフォームに架装した。ところが2台目のスペシャルより重いことが判明し、至るところにドリルで穴を開けてできる限り減量したが、車重は1133ポンド(約513kg)だった。興味深いのは、このグルックラー・ポルシェを1952年に製作したのが、フランクフルトのヴァイトハウゼンというワークショップであることだ。同じコーチビルダーが翌1953年に、ポルシェ550の1台目と2台目を造っていたのである。


 
細部に目を転じると、リアフェンダーがかなりタイヤを覆っていることや、356のヘッドライトを使用していることに気づく。ノーズ中央にはオイルクーラーの吸気口があり、フロントのブレーキを冷却するためのスロットも2個ある。ロードスターとして構想されたが、着脱できるコンパクトなアルミニウム製ハードトップもあった。


 
ウィンドシールドはボディに固定されているが、両サイドのアクリルの窓は跳ね上げることができ、コクピットに乗り込めるようになっている。先行のスペシャルと同様、ボディシェルにはシルバーのペイントを数回塗り重ね、"グルックラー・レーシング"の目印であるイエローのラインを1本、ボンネットを横切るように描いた。
 
1.5リッターのポルシェエンジンにはハイリフト・カムシャフトとツインキャブレターを装備し、燃料はボンネットに収まるカスタムメイドのタンク2個から供給された。この燃料タンクは、腐食性のアルコール燃料が使われるレースもあることから、真鍮製であった。ちなみに、85bhpを発揮したというオリジナルのエンジンは現存していないが、その理由は、アルコール燃料によって、マグネシウムとアルミニウムで造られたクランクケースが腐食してしまったからだ。


 
グルックラー・ポルシェの最初の2台はミドシップで、神経質なハンドリングに苦しんだ。


その理由は?次回へ続く・・・

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words & Photography:Stephan Szantai Vintage photos courtesy:Herb Wysard

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