ひるまず進め!アルプスの山中を駆けあがっていく38台のクラシック・ポルシェ

38台のクラシック・ポルシェがモンテカルロ・ラリー・ヒストリックに挑む旅へ、一路、アルプスの山中を駆け上がっていく。その走りを追うには当然、私たちもひるまずドリフトし続けなければならない。

他のトップレベルのコンペティションと同じく、107年前から行われているWRCモンテカロにはヒストリック版が存在する。FIA格式の競技から数日後の、毎年1月末から2月初旬に、ほぼ同じコースのスタッドタイヤを必要とする路面において、1998年から開催されている。

 
ここでは2018年度の様子をご紹介。その年、モンテカルロ・ラリー・ヒストリックは、317台のエントリーを数えた。出発点となる町は、グラスゴー(英国、スコットランド)、ランス(フランス)、オスロ(ノルウェー)、バード・ホンブルク(ドイツ)、バルセロナ(スペイン)、そしてモンテカルロ(モナコ)の6都市だ。私たち取材班は、ランスをスタート地点に選び、ペナイン山脈で雪の中を進む12台のグラスゴー出発車たちに合流することにした。
 
ランス・ギューの元公道サーキットに詣で、ピット脇で写真を撮った後、私たちはランスのスタート地点に向かった。午後8時のスタートに先立ち、シャンパーニュの一杯が差し出される。ここで96台が、市庁舎前の特設ランプ上でフラッグを振り下ろされ、3分ごとに送り出される。金曜夜の小雨のなか、その先の広場を左に巻いて南へ、ヴァランスへ向かう。
 
このローヌ川沿いの街は今年から、他の街からスタートしたクルマとの合流地点となった。これまでなら317台全車が、モンテカルロに集結してからヴァランスを目指していたが、ここから数日間、アルデッシュやヴェルコールの山々へ、レギュラリティ競技が行われるスペシャル・ステージ区間へ向かうのだ。
 
出場車の多彩なことといったら、眺めていて飽きることがない。アルピーヌ・ルノーにアルファロメオ・ジュリア、ボルボPV544やヴァルトブルク、あるいは見慣れないパナールやヴェスパ400、さらには道化を客室に載せたオースチン・タクシーまでいる。
 
ほとんどの参加者たちは48時間にわたって眠っておらず、夜になって長い列に並んだ後に、計測コントロールのテントでチェックを受け、ヴァランスの広々としたシャン・ド・マルス広場のパルク・フェルメに通されていく。これこそ、モンテカルロ・ラリー・ヒストリックが社交の場に変わる場所だ。これまで何度も闘っているライバル・チームのクルーたちと交歓し、中には陽気になったラリーストたちを文字通り歓迎してくれるバーもある。


 
レストランに入る際にも、レギュラリティと同じくラリーストたちは一歩一歩を計っているようだ。最初の1台目は6時にスタートして、20~30kmほど西に離れたアルデッシュの森深い一連のSSへと、向かう。田舎で車線幅の狭いワインディングは、数年前は深い雪が数センチも積もっていたが、2018年はほぼクリアだった。さらに標高が上がっていくと、雪の溶けていない路面となった。
 
レギュラリティの序盤を制したのは、ノルウェー仕様のVW1303を駆る、タインとトーヒルド・ヘイルアの母娘だった。確かに、馬力よりも、ナビゲーションのスキルやストップウォッチの知識の方がものをいう。翌日土曜に順位を上げてきたのは、小さなDKWとヴァルトブルクだった。
 
アレックスと私のようなメディアの人間も、私たちのボクスターのウインドウスクリーンにちゃんとプレスのプレートを掲げることで、ステージに出ることを許された。私たちは急な土手をよじ登ったり、溝の上を跨いで滞空しながら、ベストのカメラアングルを探した。SSのスタート地点とゴール地点は、走っていけばそれで分かるよう、道路脇に赤かオレンジで丸いアイコンのサインで示されている。その後に、オートモビル・クラブ・ドゥ・モナコのチェックポイントが現れて、出走車の電子デジタル・タイミング計測機器が読み出される。クルマは整列し、一台ずつスチュワードが指でスリー・トゥー・ワンとカウントダウンして、再び送り出される。
 


以前にヴィック・エルフォード/ディヴィッド・ストーン組のオレンジの911を追いかけた時、私はフランスの折り畳み式地図のローカル版を使ってSSがどこか特定して、"クイック"・ヴィックは私のためにフェルトペンで印をつけてくれたものだ。だが今ではSSの大半は当時と同じなのに、物事はずいぶんと簡単になった。ビュルゼのような場所にとりあえず留まって、GPSを頼りにどの道かさえ分かっていれば、そこまで距離と時間はどの程度かあまり考えなくても、何とかなるようになった。夜にはまた歓迎パーティがあって、公園には特設ステージと木々の飾りによって、ヴァランスは魔法にかけられたように賑やかになった。


日曜のプログラムは?・・・次回へ続く

編集翻訳:南陽一浩 Transcreation:Kazuhiro NANYO Words:Johnny Tipler Photography:Alex Denham & Johnny Tipler

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