レースはつらいよ│プロドライバーに混ざってポルシェ356でレースに参加!

『Classic Porsche』の寄稿者スティーブ・ライトの2018レースシーズンがドニントンパークで開幕した。アマチュアレースと侮るなかれ。イギリス・ツーリングカー選手権のプロのドライバーもいて、しかもマシンは同じポルシェ356だった…。
 
私たちはGT&スポーツカー・カップというシリーズにエントリーした。1965年以前のGTと1962年以前のスポーツカーで争われ、運営はオートモビル・ヒストリークだ。幅広いラインアップなので、我らが1958年ポルシェ356Aは、巨人ゴリアテと戦うちっぽけなダビデそのものだった。なにしろ相手は完璧にセットアップしたMGBやライトウェイトEタイプなど、目を見張るようなクルマばかりなのだ。ほぼ毎回、排気量で最小なのは自分たちだろうと覚悟を決めた。

その上、ドラムブレーキは私たちのクルマだけだ。初戦はドニントンパーク・ヒストリックフェスティバルで開催された。のんびりした日程で、予選は金曜、決勝は日曜なので、土曜日はフェスティバルを目と耳でゆっくり楽しむことができる。私たちは木曜の夜に今シーズン初めて集結し、クルマを荷台から下ろしてビールでのどを潤した。スティーブと組むもうひとりのドライバーはヴォルフスブルク・パフォーマンスサービスのイアン・クラークだ。幸い、彼が冬の間にエンジンをリビルドし、点検もざっと済ませていたので、その夜はボディを磨くこと以外にほとんどやることはなかった。

予選は順調に進み、案の定、順位は最後尾近くだったが、356は最高のサウンドを奏でた。冬の間にサスペンションをリビルドしたのが効いたようで、スティーブは名高いドニントンパークでこの356の最速タイムを記録した。私たちは残りの時間をピットストップの練習に費やした。ドライバー交代をし、イアンのために座面を上げるクッションを素早く挿入する。F1のように2.5秒で済ませるのは無理だとしても、ドライバー交代で1秒でも削ることができれば大きい。ご多分に漏れず、最速でできたのは、ゆっくり整然とやったときだった。
 
予選後は、フロントのドラムブレーキを分解し、走行中にたまったブレーキダストをドラムから取り除いた。ブレーキシューもドライバー側と助手席側とを交換した。時計回りのコーナーが圧倒的に多いコースなので、ドライバー側に倍の負荷がかかるのだ。また、アンチロールバーがウェットのセッティングのままだったことに気づき、決勝に備えて締め込むことにした。


 
私たちはイギリス・ツーリングカー選手権に参戦しているサム・トードフと会うことができた。彼のスポンサーであるポルシェ代理店が出展しており、私たちを温かく迎え入れてモーニングコーヒーをごちそうしてくれたのだ。いうまでもなく、356や2.7 RS、RS 4.0など、その展示内容も見事だった。サムは購入したばかりの356プリAで参戦していた。彼にとってクラシックカーの世界は、慣れ親しんだツーリングカーの世界と違って目からウロコだったに違いない。
 
残念ながら彼はリタイアに終わったが、次はきっとすべてのシリンダーに火を付けて熱い走りを見せてくれるだろう。おかげで私たちにとってはちょうどいい競争相手になり、自分たちのタイムを比較できてありがたかった。
 
決勝日は特別な気分だ。誰もが少しばかり早く起きて支度を整える。1日の最初に大事なことといえば、チームで取る朝食だ。この日はアンディー・グッドウィンも加わった。ピットで頼りになる腕が増えるのはいつだって歓迎だ。次に、クルマを中からも下からも目視で点検。オイルのチェックと給油も行い、タイヤの空気圧はそのときの低い気温に合わせた。
 
私たちはぎりぎりまでタイヤをそのままにしておいた。路面温度がどんどん上がっていたからだ。その結果、危うく集合時間に遅れるところだった。次回は空気圧を高くしておいて直前に下げることにしよう。そのほうがはるかに速い。またひとつ勉強になった。


そして、気になる天候と参加台数はといえば・・・次回へ続く
 

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Stuart Atlee Photography: Tom Fawdry

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