アマチュアレーサーが40台に混ざって参戦!│果たしてその結果は?

この記事は『レースはつらいよ│プロドライバーに混ざってポルシェ356でレースに参加!』の続きです。

天候といえば、レースがある週末は、なぜかサーキットだけ局所的に崩れることが多い。めずらしく燦々と陽が降り注いで気温も上がると、調子が狂うくらいだ。

 
私たちのレースには40台も出走するので、必然的にローリングスタートとなる。集合場所から現れた車列は1周フォーメーションラップを行い、スロットルペダルを一斉に踏み込んでレースがスタートする。トップグループは約25秒も速いので、我らが356は間もなく追いつかれて上位勢に飲み込まれた。はるかに速いクルマに道を譲りつつ自分のレースを続けるのは、ドライバーにとって至難の業だ。
 
決勝では2回のピットストップが義務づけられており、車両のオーナーが50分以上ステアリングを握らなければならない。いわゆる"ゲスト"ドライバーばかりが走行するのを防ぎ、より対等な戦いを保証するいいアイデアだ。
 
最初の35分間は予定通りに進んだ。スティーブは順調に周回を重ね、クルマの調子もよさそうだ。そのときコース上でアクシデントが発生し、イエローフラッグが出ると同時にセーフティーカーが導入された。平穏だったピットレーンが突如としてクルマで一杯になる。この間にピットストップを1回済ませようというわけだ。スティーブも入ってきた。クルマを止めるスペースを探して右往左往したが、ドライバー交代も完璧にこなして、"無事に"送り出すことができた(失敗したらどんな事態が待っているかはF1を見れば分かる)。


 
クルマを降りたスティーブは、フロントのアンチロールバーを変更したことで大幅にコントロールしやすくなったと報告した。2年ぶりにサーキットを走るイアンもクルマに満足しているようだ。1周ごとにタイムが縮んでいく。ところが次の周にイアンがピットに入ってきた。これは予定外だ。イアンはミスファイアを報告したが、心配した様子も見せずにクルマに乗っている。私たちは分かりやすいところからチェックを行い、燃圧がゼロであることに気づいた。燃料ラインや電気系の接触不良をチェックすると、再び燃圧が戻った。イアンはすぐさまコースに飛び出していった。
 
私たちから見える範囲では問題なく走っていたのだが、途中でまたミスファイアがぶり返し、ピットに戻ってきた。今度はイアンもクルマから降りる。このクルマを誰よりも知っているのがイアンだ。私たちはさらにチェックを行って再び送り出した。だが結果は同じで、次の周に再びピットに戻ってきた。スパークプラグの交換が必要だと判断して作業を始めたが、交換中にエンジンの中にプラグを1本落としてしまった。なんとか取り出せたときには全員が指先にやけどを負っていた。



この機会に再びドライバー交代をすることにした。スティーブの走行時間がまだ規定の50分に達していないからだ。しかし、スティーブもたった2周でピットに戻ってきた。最終的に下した診断は、燃料が詰まり、燃料ポンプが空気しか送っていないというもの。ピットレーンで燃料システムをいじるわけにはいかない。誰もが肩を落としたが、リタイアするしかなかった。
 
レースは時に冷酷な顔を見せる。皆で努力した末のリタイアは、いつだって辛い。私たちはクルマを荷台に積み込むと、主催者が提供するランチで心を慰めた。ところが驚いたことに、周回数が足りていたので完走扱いとなり、なんと私たちがクラス2位だというではないか。皆で首にシルバーのメダルを掛け、満面の笑みで週末を終えることができた。次のシルバーストンが今から楽しみだ。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo.) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Stuart Atlee Photography: Tom Fawdry

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