「スピード」ではなかった!│ラリーの世界王者が求めていたものとは

ラリーの世界王者ヴァルター・ロールにまつわる話をご紹介。ラリードライバ―を目指したきっかけはこちら

「フランツ・ベッケンバウアーと行ったスキーの話ですね。彼はサッカー選手ですが、一時期、とても親密なときがありました。マネージャーのロベルト・シュヴァンが彼と私のマネージメントをしていたからです。ある日、フランツが “Schneeforscher (雪の探検家)” という、オーバー・タウエルンでスキーを愉しむ15 名のメンバーがいる同好会に入会するように誘ってきたのです。その中には、ゼップ・マイアー、ヴィリー・ホルドルフ、マックス・ローレンツ、ウヴェ・ゼーラーなど名スポーツ選手がいましたよ。しかし、みんなのスキーのレベルはまちまちでしたね。

私は当時、契約でスキーを滑ることを禁止されていて、もし怪我をした場合には給料が支払われない規則になっていました。ですが、お金に興味がなかった私は暇さえあれば雪山に向かい、ラリー時代にはすでに公認のスキー講師資格を得ていました。検定試験でもドイツ国内4位という成績で、ドイツスキー協会の一員に任命されたなんてこともありました。当時の私はスキーでもラリーでも“スピード狂”と呼ばれていましたが、実際のところスピードを出すことは不安だったのです。自分にとって大切なのはあくまでも完璧さであって、スキーを滑る時もまるでスキー板を履いていないようなスムーズな動きを目指していました。クルマもこれと同じで小指の動きひとつでコントロールすることに集中し、それが達成できた時だけ満足していましたね」

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