パワフルな1600 SCエンジンが搭載されたポルシェ356 カブリオレ│希少な14台だけの右ハンドルモデル

オープンボディの356は長い生産期間に進化していった。異なる3台を比較してみよう。<1956年 SC カブリオレ編>

スピードスター編
ロードスター編

1963年に356が"C"シリーズに移行し、後継の901が発表される。これを機に、ポルシェは356モデルを整理した。ロードスターの生産は1962年で終了したほか、エレガントではあるが売れ行き不振だったカルマン・ハードトップも"C"バージョンは造られなかった。こうして最後期の356のボディスタイルは、クーペとカブリオレの2種類になった。どちらも製造拠点はツッフェンハウゼンで、クーペはカルマンでも製造され、最終的には1万3800台に上った。対して356 Cカブリオレの生産は3165台に留まる。1965年4月に、356として最後にツッフェンハウゼンの生産ラインを離れたのはカブリオレだった(その後、さらに10台のオープンタイプがオランダ警察のため特別に造られた)。
 
356Cの外観は"B"に似ているが、広いリアウィンドウとフラットなハブキャップを見れば簡単に見分けがつく。356のボディシェルには、生産期間を通して様々なモディファイが加えられた。明確な変更が多いが、目立たない変化もある。356Cではリアウィンドウとグリルが拡大されたほか、ボンネットがよりフラットになってパネルフィットが改善された。また、ディスクブレーキの採用によって、以前のドラム式よりレスポンスが向上し、ばね下重量も減った。


 
カブリオレには、5800rpmで95bhpを発生するパワフルな1600 SCエンジンが搭載された。ダンパーも、1600 Cはボーゲ製だが、カブリオレはコニ製のアジャスタブルユニットだ。フードも高級仕様で、ロードスターと違って内張りが施されている。そのため遮音性は高いが、フレームを内蔵するのでフラットに畳むことはできず、スピードスターやロードスターよりウェストラインの上に飛び出している。これは、最後の空冷式911のコンバーチブルまで同様だった。
 
このカブリオレSCも希少な1台だ。わずか14台だけの右ハンドル仕様で、新車でイギリスに輸入され、過去の書類が幅広く揃っている。「他国へ輸出されたものは、まず書類が残っていない」とペイシーは話す。過去のオーナーは7人。最初のオーナーが1981年まで所有し、最後はポルシェクラブGBの元会長が2002年から所有していた。そのため、履歴の分かるマッチングナンバー車であるだけでなく、コンクールでの優勝に値する抜群のコンディションだ。グローブボックスのフタには、フェリーの息子であるハンス-ペーターとヴォルフガング・ポルシェ、917でル・マンに勝利したリチャード・アトウッドのサインがある。この栄誉に浴す前にレストアを受け、ブレーキサーボを装着してある。

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