ヒーローの再生│納屋に眠っていたポルシェ930ターボとの出会い



「父親と釣りに出かけた帰り道にサービスエリアに立ち寄った。1975年のことだ」と彼は振り返った。「そこでオートスポーツ誌を買ったんだが、その表紙には黒々としたブラックマークを路面に残したシルバーの911のターボが載っていた。記事の中でも絶賛されていた。今でもありありと思い出すことができるけれど、それがポルシェとのファースト・コンタクトだった」
 
長いことポルシェに深く関わっていれば、当然ながら貴重な情報をもたらすネットワークができあがるものだが、このクルマの場合はたまたま発見されたと言っていい。前のオーナーはノーザンプトンシャーに住む電気関係のエンジニアで、ヨーロッパ大陸をドライブ旅行することを趣味としていた。彼はドーバー海峡の向こう側で左ハンドル仕様を探し求めていたというが、その結果、グランプリ・ホワイトにマルティーニ・ストライプ付き、サンルーフなしの79年式クーペに行き着いた。ところが、不幸にも彼の運はクルマを見つけたところで尽きてしまったらしい。

「友人の友人経由で2016年の3月にこのターボを見つけた。前オーナーはポツンと離れた一軒家に住んでおり、その裏庭には小さな納屋を改造したガレージがあった。このポルシェはその中に12年も置きっぱなしになっていたんだ」とコリンは語った。
 
「彼はこのクルマを地元のエンジンの専門家に持ち込んだという。そこでシリンダーヘッドがダメージを受けていると診断され、とりあえずエンジンを下ろした。その後、突然、エンジン・ビルダーは姿を消したらしい。前のオーナーは、破産管財人がやってくる前に自分のクルマを引き取った方がいいと告げる誰かからの電話を受けるまで、まったくその事態を知らなかったという。彼はなくなった部品の代わりを用意することができず、ポルシェはそのままガレージの中に放置されていたんだ」


埃まみれで見つかったポルシェ・・<次回へ続く>

編集翻訳:高平高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Alex Grant Photography:Andy Tipping

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