埃まみれだったポルシェ930のレストアをスタート!

この記事は『ヒーローの再生│納屋に眠っていたポルシェ930ターボとの出会い』の続きです。

930ターボは元のオーナーが考えていたよりも価値があった。まずは状態を診断するためにナインマイスターのワークショップに運搬する前に、そのクルマを確保するためにコリンは提示された金額に4000ポンドを積み増したという。埃まみれになってはいたものの、ボディの基本部分はしっかりしていた。


ただし、ホイールやブレーキは取り外されており、また分解したエンジンパーツも満足に揃っていなかった。すなわちクランクケース、インテークシステムが、オルタネーターとファンぐらいのもので、しかもCB 無線やオーディオシステムと追加のスピーカー、イコライザーといった時代遅れの怪しげな後付け部品が、インテリアパネルを切り取った場所に取り付けられていたという。

「難しい仕事は私たちの望むところだが、このような古いクルマの問題は、付属しているパーツをどう扱うかということだ。どの部品が使用可能で、どれが使い物にならないかがまったく分からない。まずどこから手を付けるべきか、最初は判断がつかず、しばらく埃を被ったままにしていたんだ」とコリンは説明してくれた。
 
まずは新しいオーナーを見つけることがこのターボの埃をはらう最初の一手ではないかと考えたナインマイスターのスタッフは、自分たちのソーシャルメディアにみすぼらしい930ターボの写真を数枚アップした。反応は即座に返ってきた。ビデオゲーム業界の有名人であるセルハド・コロが、偶然にもまさしくこのスペックの930ターボを探していたらしく、彼は現物を見もせずにこのプロジェクトに同意したという。ただし、あらゆる物作りと同様に、作業が進んで行くうちに事前に立てた計画は変わって行った。



「目標漸変とはまさにこの仕事のことだった」とコリンは含み笑いした。「私たちの元々の計画は、時を経たオリジナルの風合いをある程度残しながらレストアするというものだった。ところが、いざ本格的に取り掛かってみるとかなりの部分が傷んでいることが明らかになり、塗り直さなければならないパネルも少なくなかった。もし一部を直す場合には、マルティーニ・ストライプを一度取り去って、作り直さなければならない。しかしながら色褪せたストライプを製作することはできない。クルマ全体を再塗装することは避けたかったが、最後には結局そうしなければならなかった」
 
もっとも、結果的に修復作業は少なくなった。セルハドはヘッドライトボウルの錆を解決するために両方のフロントフェンダーの交換を選択、またサイドシルと片方のドアも同じく新品に交換した。サンルーフが付いていなかったおかげで、室内には水漏れの形跡はなく、カーペットも湿ってはいなかった。フロアパンはしっかりとしており、湿潤な国で長年放置されていた40年も前のクルマにしては腐蝕も一部にとどまっていた。それでも完璧な状態にフルレストアできる可能性はその時点では低かった。
 
当然予想されたことだが、作業は雪だるま式に増えて行った。塗装をすべて剝ぎ取り、フロアパンに下地コートを施した段階で、セルハドはちょっとした変化球を投げ込むことを決めた。ボディワークがほとんど完成するという時に、ボディカラーをコンチネンタル・オレンジに変えると言い出したのだ。それはオリジナル・カラーでも1979年当時のオプション・カラーでもなかったが、これはすべてのパーツナンバーがマッチしているミュージアム展示用のモデルではなく、個人的なレストア・プロジェクトである。



「私の意見だけれど、このようなプロジェクトに見て見ぬふりをしながら関わることはできない」とコリンは語る。「コンチネンタル・オレンジは私も好きな色だし、良く似合うことは分かっていた。とはいえ、そのままの姿を維持できたら、とても素晴らしかったと思う。しかしながらこだわりすぎるのも正しいこととはいえない。生きている限り手放さないと決めたクルマのレストアを行うのならば、思った通りにできるかもしれない」


いくつかのパーツ白紙はから・・・次回へ続く




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