関係者が語るル・マン24時間での武勇伝│厳しいコンディションが続く雨の中でのル・マン

24時間は 86400秒。しかし、“ル・マン24時間”という場ではそれ以上の何かを感じることができる。忘れることのない、歴史的な瞬間が起こるのだ。小さなエピソードから大きなサクセスストーリーまで、十人十色、喜びや悲しみの感情が24時間の中で交錯する。ル・マン 24 時間が開催される時は、いつの時代もレースに魅了された観客一人一人の情熱がひとつとなり、会場を包み込む。そんな瞬間を間近で見て、感じてきた関係者が語るル・マン24時間での武勇伝をご紹介。

・ルディ・リンス
「私はル・マン24時間にこれまで三度出場していますが、中でも1970年は最も印象に残っていて忘れることはできません。ヘルムート・マルコとコンビを組んだその年、ポルシェ 908 を駆りプロトタイプクラスと性能指数クラスで受賞し、総合でも3位入賞を果たしました。あのレースはナイトセッションに入ると雨が降り出し、以後数時間にわたってずっと雨という厳しいコンディションでした。

ル・マンを走るドライバーにとってそれが何を意味するか、実際に体験したことがなければ分からないでしょう。オーバーテイクしたいのであれば、まず怒涛の水しぶきがドライバーを襲います。もちろん前方は何も見えないですし、水しぶきを終えた後に何台のマシーンが待ち構えているかすら分からない状態なのです。過酷な雨のナイトセッションをハンス・ヘルマンと周回したのは大正解でした。熟練のドライバーと一緒に走る安心感は計り知れません。908はオープントップでしたので、1ラップ周るだけでヘルムート・マルコも私もずぶ濡れになりましたよ。とはいえ、私は当時まだ24歳だったので、気力は誰にも負けていませんでした」

RECOMMENDED