栄光への帰還│クレマーがレストアしたポルシェ934がサーキットへ

クレマーによってレストアされた、ポルシェ934。ターボチャージャーを装着し、空力特性の見直しやブレーキにも手を入れた。オリジナルにこだわらず、レースでの勝利を狙ったモディファイも施された。そしていよいよ、シェイクダウンからレース参戦の結果をお届けする。

シャシーナンバー930 670 0154を持つこの934は生産第3号車で、数々のレースにおいて"負傷"してきた戦歴の持ち主である。最初のオーナーはアウゲン・キーメルで、ポルシェ社から直接購入した。おそらく934で個人としてレースにエントリーしたのは、彼が初めてだった。キーメルはドイツでいくつかのレースで勝利を収めた後、1976年5月にヒルクライムのイベントでクラッシュしてしまった。
 
事故後、車両はユーゲン・カンナハーの手に渡り、エンジンとトランスミッションが取り外され、ボディはイギリスのオートファームというポルシェ・ショップに売却された。オートファームでは、事故で損傷した箇所を修理し、2.8RSRのエンジンとトランスミッションを搭載。マーク・ドリントン・ニブレットがレースに参戦した。1979年にはギャビン・ワトソンの手に渡り、1981年に筆者が『HOT CAR』誌にて取材したことを覚えている。1983年にはジョン・ベルに売却され、やがて3.3リッターのグループB仕様のエンジンに載せ替えられた。イギリス各地のレースに参戦するも、1987年にシルバーストンにてクラッシュを喫し、修復されてから1992年までベルによってレース参戦が続けられた。


 
1992年には、イタリアの有名ポルシェドライバーであるマウロ・ボレッラに売却された。彼の元で1年ほどレースに参戦した後、イタリア在住のマリオ・イロッテの手に渡り、やがてアメリカ人コレクター、リチャード・ガンデックのコレクションに収まった。現オーナー、パオロ・ファルディーニが934を購入したのは2010年のことだった。この934はドイツに生まれ、イギリス、イタリア、アメリカへと渡り、またドイツに戻ってきた。

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